悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~


だけど……。


やらなきゃ……。


覚えは悪い方だけど、知らないよりはマシ。


今少しでも勉強していたら、何か役に立つことがあるかもしれないから。


あたしは、目線より少し上にある本に人差し指を当てながら探して行った。


ブツブツと背表紙を読んでいき、本棚一列が終わると、今度はまたひとつ上の本棚に移る。


少し背伸びをしてまた人差し指でたどるように探した。


と……その時。


カタン……。


図書室の奥の方で、小さな物音がした。


ピクリ。と、眉が動く。


また、物音……?


しかも、この前と同じ場所から……?


「ヘンリー……?」


あたしは、またヘンリーが掃除をしているのだと思い、彼の名前を呼んだ。


だけど、無反応。


本探しを中断して、物音がしたほうにゆっくりゆっくり足を進める。





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