悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
第3章
魔界のフェスティバル
夏休みに入ると、あたし達3人はすぐに魔界へ行く為に屋敷に集められた。
シキは人間界まで、あたし達を迎えに来てくれたんだ。
私服の梓と庵可くんも、あたしと同様大きなボストンバックを抱えている。
魔界で開かれるフェスティバルは結構大きなイベントなのか、赤いじゅうたんの廊下を執事やメイドさんが忙しく準備に追われていた。
あたし達3人は、みんなの邪魔にならないように、廊下の端に立って指示を待つ。
あたしは、誰にも気づかれないように、シキの隣で魔界へ行く準備をしているヘンリーに目を向ける。
新人らしくシキの言うことをよく聞き、誰よりも真面目に動いているヘンリー。
怪しいところなんてひとつもない。
あの紙に書かれていた”ヘンリー“って、本当にこの人のことなのかな……。
もっともっとヘンリーをマークして調べ上げなきゃ……。
ガシッ……。
突然背後から肩を掴まれ、驚いた体が大きく飛び跳ねた。