悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
「学校の図書館と違いすぎてビビりますね」
庵可くんも体のバランスを崩していて「おっとっと」と体勢を整えていた。
「ねぇ、シキ。どうして図書室に?階段は?」
あたしが聞くと、シキはフフフと笑いながらあたしを振り返った。
「あの階段は魔界の街へ繋がっていたでしょう?今回は直接お城へ参りますので、こちらから行くのですよ」
そう言って、シキはある本棚の前で立ち止まった。
そして、右手を高々と手を上げ、手を右へスライドさせる。
ゴゴゴゴゴゴ。
シキの手の動きに反応した本棚が、鈍い音を立てて右へ動いた。
驚いた梓が、あたしの腕を掴む。
本棚が完全に右に移動すると、その奥から出てきたのは古い鉄の扉だった。
サビて赤褐色になっている扉には、蛇や蜘蛛、鬼のように目をつり上げ八重歯をむき出しにしている絵が微かに見える。
気味の悪い絵ばかりが描かれた扉を開けると、シキはまたあたし達を振り返って微笑んだ。