悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
登校時間で賑わう靴箱。
少し早めに登校して靴箱で上履きに履き替えていると、隣に懐かしい気配を感じて顔を上げた。
……黒羽くん。
“懐かしい気配“……?
どうして、そう思ったんだろう……。
「お、おはよう……」
ぎこちないあいさつ。
昨日よりも大きくなったモヤモヤがもどかしくて、あたしは彼に声を掛けてみた。
ド、ド、ド、ド、ド、ドと高鳴る鼓動は、慣れない人に話しかける緊張からだ。
人見知りするタイプではないのに、こんな自分が少し恥ずかしくなる。
「ああ」
隣の彼は上履きに手を伸ばしたままの状態で、短く言った。
その瞬間、彼は、あたしの首元を見て大きく目を丸めたんだ。
そして、上履きからサッと手を離し、あたしの二の腕を強く掴んできた。