悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
「ん?なんだ、おまえヘンリーと一緒にいたのか?」
あたしの側に来たルカに聞かれ、あたしはキョトンとする。
「え?ヘンリー?ううん?」
あたしは眉を寄せながら首を振る。
「ここに来てから、まだ一度もヘンリーと話してないけど?」
確かにずっとヘンリーを目で追ってはいたけど、ヘンリーはずっと遠くにいた。
「どうしたの?」
ルカは、あたしの答えに府に落ちないような表情。
「おまえから、ヘンリーの匂いがする」
ルカに言われ、あたしは思わず腕を鼻に近づけフンフンと匂ってみる。
だけど、無臭だ。
ヘンリーと接してないのに、なんでヘンリー?
庵可くんならわかるよ?
この部屋に入った時少し話しをしたから。
庵可くんの香水の匂いが強かったから、それがあたしについたのならわかるけど……。
あたしがまだ鼻をフンフン言わせながら周りを匂っていると、ルカは静かに梓に目を向けた。
梓はビクっと肩を上げ、さらにあたし達から距離を開ける。