悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
「さ、サラ!あたし、先に行くね」
梓はドアを指してぎこちなく言い、そそくさと小走りで部屋から出て行った。
「パーティを抜けだして何の話をしていたのだ」
ズズズと、ルカがあたしに歩み寄る。
ルカがゆっくり近づく度に、あたしも後ずさった。
「べ、別に大した話じゃないよ。慣れない環境で、梓、緊張してるみたいだったから」
ハハハと、後ずさりながら苦笑い。
「それだけか?」
まだあたしに歩み寄ってくるルカ。
もう窓際との距離があまりなく、逃げ場がどんどん狭くなっていく。
「そ、それだけだけど?」
ピタリ。
あたしの背中が、とうとう天井まで続く大きな窓に当たってしまった。
ワインレッドの柔らかなカーテンが、あたしの体にまとわりつく。
ルカはタキシードの首元が苦しかったのか、あたしの目の前で第一ボタンを開け緩める。