悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~


あたしが眉を寄せていると、突然、フランさんは両手を大きく上に上げ、何やら呪文を唱え出した。


と当時に、ゴゴゴゴと低い音を出しながら白い壁が妙な動きをし始める。


庵可くんも梓もこの音に驚いて、更に身を寄せてくる。


こういう光景を何度か目にしたことのあるあたしは、もう驚かない。


壁が不規則に動き、少しすると、行き止まりだった白い壁に古ぼけた大きな扉が現れた。


蛇や蜘蛛、見たことのないような気持ち悪い生き物が描かれた扉のカギの部分にフランさんが触れると、カチっと軽い音がしてカギが開いた。


扉の向こうは薄暗くて、急な階段になっていた。


ルカの屋敷で見つけた地下へと続く階段の、何倍もの不気味さ。


フランさん達のあとに続き、階段に足をつける。


肌寒かった。


真夏なのにヒンヤリしていて、まるで冷蔵庫のよう。


コケの生えたレンガの壁にはポツリポツリと松明が燃えている。




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