悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
ぽっかりと穴が開いたように、どこか寂しさがある。
どうしてだろう。
あたしが梓に借りたマンガを読まずにそのまま寝ちゃったから?
いやでも、元々読む気はなかったわけだし、私はそんなことで罪悪感を感じるような性格じゃない。
じゃあ……。
この、息の詰まるような苦しさは、一体何なんだろう。
「今日は転入生を紹介する」
担任の太一が、教室に入って来て開口一番に、”転校生“という言葉を口にした。
それも、普段から気の抜けたようなしゃべり方だけど、今日は一段とダルそうに。
太一はウチの学校で最も若く、生徒達から親しまれるように下の名前で呼ばれているの。
太一は、『先生に向かってタメ口はやめろ!それにちゃんと先生と呼べ!!』なんてよく叫んでるけど、まんざらでもなさそうだ。
それにしても、こんな6月に転校生なんて、あまりにも中途半端過ぎない?
まぁ、人それぞれ色々事情があるんだろうけど。