悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
カツカツカツカツ。
誰かの足音が響く。
呪文を唱える声も響き、その声がフランさんだと耳が認識する。
呪文のあとに、フワっとついた松明の灯り。
この場所がどこなのかはっきり見えて、あたし達は3人同時に息を飲んだ。
言葉が出ない……。
体が震えて、立っているのもやっとの思いだった。
暗闇の階段を下りたその先にあったのは、壁の両端にずらりと並ぶ鉄の牢屋だった。
牢屋の間には、何やら細々とした道具が無造作に置かれている。
鉄のさびの臭いなのか、この古い道具の臭いなのか、異臭が鼻をつき、あたし達はほぼ同時に3人で顎を引いた。
「……なに、ここ」
あたしの震える小さな声が、石造りの冷たい空間に響く。
前にあたしも牢屋に入れられたことがあるけど、あそこよりも酷い。
ここに1日でも放置されれば、精神的にまいって自分を見失いそうだ。
「ここは以前、私達王族が奴隷を飼っていた場所だ」
フランさんはあたし達を振り返ることなく先に進み、また松明に炎をつける。