悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~


牢屋の間には3つの松明があり、全部に灯りがともると、ようやくこの部屋全体を見ることが出来た。


両端にどのくらい牢屋が続いているかはわからないけれど、結構距離がある。


そして、牢屋の柱や散らばった道具をよく見ると、黒っぽい染みがたくさんついていた。


近づく度に、異臭が鼻をつく。


「汚れが凄いね……」


梓の声も震えている。


「これは汚れではない」


松明に灯りをともしたフランさんがあたし達の元へ戻ってきて、辺りを見渡し、そしてあたし達を見た。


「この黒い染みは、全て血の跡だ」


ち、血の跡!?


庵可くんが目を丸くしてあたしを見る。


「じゃ……この鉄のような臭いも……」


庵可くんが怯えながら言うと、フランさんは「血の臭いだ」と、低い声を出した。


「昔、私達王族は、下級悪魔や人間を拉致してここに入れ、惨い仕打ちをしてきた」


フランさんが辛そうに過去を語りだす。


「女子供関係なく無理矢理連れてきて、食事もろくに与えずここで働かせた」


あたしがルカの屋敷で読んだ、本の内容と同じだ。




< 201 / 296 >

この作品をシェア

pagetop