悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
「汚い戦いをする為の武器を、ひたすらここで造らせていたんだ」
フランさんが歩き出すと、そのあとにみんながゆっくり続く。
「動きの悪い者には、ムチで叩き火で焼き、それでも働かない者は、家族の見ている前で殺した」
フランさんがひとつの牢屋を指すと、そこの石の壁には銃で撃たれた跡のような黒い染みがべっとりついている。
「なぜこのようなことを私達の先祖がやっていたのか、私にはとても悲しい事だが、これは代々受け継がれていたのだのだよ」
フランさんの話しの途中で、あたしの隣の庵可くんの呼吸が少し荒くなった気がした。
心配になってすぐに庵可くんの顔を覗き込む。
すると、庵可くんは口元に手を当て、目を見開きガタガタ体を震わせている。
「あ、庵可くん?」
「…………」
声をかけても、震えたままで何も答えない。
「ちょ!庵可くん‼大丈夫?」
あたしが庵可くんの腕に触れると、庵可くんの二の腕は力が入り過ぎてカチカチになっていた。
徐々に過呼吸のようになり、足元がふらつく。