悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
「庵可くん!落ち着いて‼大丈夫だから‼」
あたしが庵可くんの体を支えてると、ヘイリがサッとやってきて、あたしから庵可くんの体を受け取り、目元に優しく手を持っていく。
目を閉じさせるようにヘイリが撫でると、庵可くんの呼吸も落ち着いてきた。
そして、体の震えも止まる。
庵可くんはヘイリの腕の中で深呼吸をすると、まだふら付きながらも自分の足で真っ直ぐ立った。
「すみせん……。話しを聞いて想像してたら、急に気分が悪くなって……」
庵可くんは、魂の抜けたような力のない声で言う。
気分も悪くなるはずだ。
あまりにも惨すぎる。
「大丈夫かい?少し休憩をしようか」
心配したフランさんが庵可くんに言ったけれど、庵可くんは首を振って「大丈夫です」と言った。
「私が王になってからこの制度を廃止したのだ。これは決して繰り返してはならないことだから」
「…………」
「奴隷制度には、全く何の意味もなかった。王にならない限り、権限はなく、私はただ指をくわえて見ているだけしか出来なかった」