悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
あたしは、ガラスの向こうに眠る人々に頭を下げ、来た道を帰って行くみんなのあとに続いて踵を返した。
その時……。
右手の薬指に付けている指輪が少し熱を持った気がして、立ち止まった。
“……て“
何かが微かに聞こえ、あたしはハッと後ろを振り返る。
だけど、何もない。
幻聴……?
弱々しい、女の子の声だった気が……。
どこから……?
あたしが指輪をジッと眺めていると、ルカが眉を潜めてあたしに近づいてきた。
「どうした?」
ルカに聞かれ、あたしは咄嗟に首を横に振る。
「う、ううん。何でもない」
あたしはルカの腕を掴んで、みんなのあとを追った。
“……けて……ら”