悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
第4章
動きだした影
地下の牢屋の部屋を見てから、庵可くんの体調があまりよくない。
一日経っても表情は暗く、怯えたようにベッドから出てこなかった。
でも、そうなるのもわかる。
あの場所でどんなに悲惨なことが行われていたのか、生々しい血の跡や異臭で想像がつくから。
あたしはここに来る前に、本で奴隷が働かされている絵を見ているから余計辛かった。
「庵可くん、大丈夫?」
あたしは梓と庵可くんの部屋のドアをノックして声をかけた。
だけど、返事はなし。
梓と目を見合わせ、もう一度ドアをノックする。
「入るね」
少し控えめに言って、そっとドアを開ける。
昼間なのに、部屋の中は真っ暗だった。
大きな窓がたくさんついた部屋なのに、全ての黒いカーテンが閉められていて、少しだけ日差しが漏れているだけ。
物音もせず、静かな空間だった。
床がじゅうたんになっているので、あたし達の足音も吸収される。
「……庵可くん」