悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
ベッドを覗き込むと、布団を頭までかぶって、庵可くんは丸くなっていた。
更に近づくと、布団が微かに震えているような気がする。
昨日見た光景、本当にショックだったんだね。
辛いよね……。
どう、声をかけたらいいんだろう……。
あたしはゆっくりベッドに腰掛けて、庵可くんに手を伸ばした。
だけど、すぐに引っ込める。
布団の中で、庵可くんが泣いているような気がしたから。
梓に驚いた顔を向けると、梓はとても辛そうに眉を寄せていた。
このままそっとしておいたほうがいいのかな。
でも、誰も声をかけないままだったら、庵可くんはどんどん暗くなっていく。
ここには悪魔しかいない。
彼の身近にいる人間は、今はあたしと梓しかいないんだ。
どんなに悪魔がいいヒトでも、人間は人間が支えるのが一番いいよね……?
あたしは唇を噛みしめながら、そっと庵可くんの布団をめくった。
するとすぐに、庵可くんがグイっと布団を引っ張る。
その力があまりにも強くて、あたしは布団をはぐことができなかった。