悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~


「……な、に?」


まるで目に心臓があるかのように、ドクンドクンと眼球が揺れる。


「どこへ行く?」


彼の質問に、あたしはグッと眉間にしわを寄せた。


「どうして、いちいち黒羽くんに言わなくちゃいけないの?」


イライラをそのまま声に出して言ってしまった。


もう、限界。


彼を見るだけでいちいち反応する心臓が痛くて痛くて苦しくて頭がおかしくなりそう。


あたしが彼を睨みつけるように見上げると、彼はキレイなグリーンの瞳を揺るがすことなくジッとあたしを見てきた。


そのグリーンの瞳に吸い込まれそうになりうろたえる。


だって……映ってるんだもん。


もちろん、目の前にいるあたしが彼の瞳に映ってるんだけど、それ以外に、見覚えのある、懐かしい庭の風景が……。


そんな物が映るわけないのに、バラが植えられていて、噴水があって、バカ広い洋風の庭が、あたしの後ろに映ってるんだ。


なんで……?


なんでそんなのが見えるの……?




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