悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
「いい加減放してよ!!!!」
あたしは、ずっと握られていた彼の手を大声で払いのけた。
荒くなった息を抑える為に、大きく呼吸をしながら目を閉じる。
あたしの声に、周りがざわついている。
「何なの?昨日からずっと、わけわかんないことばっか。あたしに用があるなら、はっきり言ってよ。ハーフでも、日本語、ちゃんと喋れるんでしょ?」
どこからともなく湧き上がってくる怒りで、肩が上下する。
答えの出ない苛立ち。
彼を見るだけでなぜこんなにも混乱してイライラするのか……。
考えても考えても何もわからないなら、彼から逃げ続けるしかない。
しばらく時間を置けば落ちつくかもしれないし、こんなわけのわからないモヤモヤも何でもないのかもしれない。
少し、時間が経てば……。
「……サラ」
ドックン……。
一瞬、心臓が大きく動いて止まったような気がした。
あたしは、また彼のグリーンの瞳を見上げる。
お互いに向き合い、しばらくお互いを見ていた。