悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
……サラ。
なんで……?
どうして……?
彼に名前を呼ばれて、泣きそうだ……。
嬉しい。
そう。
嬉しくて、幸せで、泣きそうになってるんだ……。
「……て」
あたしは震える声をようやく出した。
「なに?」
彼が静かに聞く。
「離してって言ったの!!……何なの?」
声が震える。
もう、本当に自分が自分でわからなくなってる。
幸せなはずなのに、どうしてイライラして声を荒げているのかわからない。
何かを思い出すことを、何かに止められているんだ。
それが、何なのかもわからない。
「悪いけど、黒羽くん見てると、なんかムカつく……なに?なんでこんなにモヤモヤすんの……?ほんっと…わけわかんない」
あたしは唇を噛みしめ、前髪をクシャリと握った。