悪魔なキミと愛契約～守るべきもの～

「……サラ。おまえは、どこまでを、覚えているのだ」


彼に聞かれ、あたしは眉間にシワを寄せる。


……どこまで？

どこまでって……なに？


周りからざわめきが起こる。


『ルカ様の好きな人って……』


『まさか、サラっ!?』


『うそっ!!サラを追いかけて転入してきたの!?』


『どういうこと？だってサラ、なんにも覚えてない感じじゃん!!』


次々に囁かれる言葉。


「あたしは、何を忘れてるって言うの？」


怖くて、声や体の震えが止まらない。


「そんな、あたしが記憶喪失みたいな言い方しないでよ……あたしは、黒羽くんのことなんか全然知らない……知らないのに」


“知らないのに“


それは半分、自分に言い聞かせるように言った言葉だった。


「……サラ」


「ああっ!!　もうっ!!全っ然知らないのに…黒羽くんの顔も、黒羽くんの名前も……なのにどうして、黒羽くんを見る度に…こんなに混乱するの……？あたしは…何を忘れてるって言うの……？」


今度は、彼の瞳が揺れ始めた。