悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~


「梓!なんで止まるの!? 走らなきゃ‼」


あたしが力の限り叫ぶと、廊下に大きく響いた。


「走るってどこに?ちょっといきなりどうしたの?ちゃんと説明してくれなきゃ‼」


冷静さを完全に失っているあたしに、梓は心配そうに眉を寄せた。


「梓が危ないの‼」


もう頭が回らなくて、順序良く説明が出来ない。


「あたしが危ない……?どうして?」


「庵可くん‼」


「は?庵可くん!?」


梓が亀のように、グイッと顔を前に出す。


「庵可くんが何?どうしたの?」


「ヘンリーの仲間の可能性があるの‼」


あたしが言うと、梓はハっと口を手で覆った。


「嘘でしょ?」


「まだはっきりわからないけど、色々繋げて行ったら、庵可くんの可能性が強いの‼」


「じゃあ、庵可くんがあたしに会いに今から学校に来るって言ったのは……」


「多分、梓を始末する為だよ」


「始末って……」



< 261 / 296 >

この作品をシェア

pagetop