悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
「梓!なんで止まるの!? 走らなきゃ‼」
あたしが力の限り叫ぶと、廊下に大きく響いた。
「走るってどこに?ちょっといきなりどうしたの?ちゃんと説明してくれなきゃ‼」
冷静さを完全に失っているあたしに、梓は心配そうに眉を寄せた。
「梓が危ないの‼」
もう頭が回らなくて、順序良く説明が出来ない。
「あたしが危ない……?どうして?」
「庵可くん‼」
「は?庵可くん!?」
梓が亀のように、グイッと顔を前に出す。
「庵可くんが何?どうしたの?」
「ヘンリーの仲間の可能性があるの‼」
あたしが言うと、梓はハっと口を手で覆った。
「嘘でしょ?」
「まだはっきりわからないけど、色々繋げて行ったら、庵可くんの可能性が強いの‼」
「じゃあ、庵可くんがあたしに会いに今から学校に来るって言ったのは……」
「多分、梓を始末する為だよ」
「始末って……」