悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
あたしは素早く体を動かし、攻撃を避ける。
あたしの後ろにあった柵が崩壊し、がれきがバラバラと下に落ちていく。
下に人がいなかったか柵から覗きむと、グランドで部活動中の生徒達の動きが全て止まっていた。
「ああ、ここにいる人間の時間は止めてある。俺はあんたを殺せたらそれで満足だからな」
そう言いながら、また攻撃。
激しく散ったコンクリートがあたしの頬に飛んで来て、シュッと肌を切り、血が流れてきた。
どうしよう……。
このまま逃げ続けるのも、限界がある。
あたしの体力が続く限り、逃げ続ける?
あたしには何の力もないから、庵可くん達を攻撃することもできない。
そうだ!
あたしは、イチかバチかでネックレスをぎゅっと握って目を閉じた。
……結界。
前に、このネックレスは結界を張ってくれたことがあった。
ルカ達がここに到着するまで、少しだけ、結界であたしを隠して。
強く念じると、体の周りがじんわりと温かくなってきた。
「どこへ行った?」