悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
あたしが目を開けると、目の前にいるふたりは見当違いの方を見ている。
やった!
結界、成功したんだ。
あたしは物音を立てないよう、ゆっくりと足を動かし。ふたりの後ろに回り込むことに。
あたしが動いても、ふたりは全くあたしに気が付かない。
このまま隠れ続ければ、助かるかもしれない。
「そこか」
「……え?」
二ヤリと不敵な笑みを浮かべた庵可くんが、急にあたしの方に体を向けた。
「血の匂いがする」
しまった‼
あたしは、頬に少し流れる血を服の袖でぬぐった。
「姿は消えても、匂いだけは消えぬ」
匂いか……。
そこは考えてなかった。
悪魔は人間より嗅覚が優れてる。
身を隠していたって、あたしが血を流していたら隠れられない。
「俺が何のために、キツイ香水をつけていたと思う?」
「…………」