悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~


「どうしてお前に魔力が使えるのだ‼全て俺が‼」


「残念だったな。俺は本に一切触れていないんだよ」


セドリックの声が間近で聞こえるけれど、瞼がどんどん重くなっていく。


次から次に放たれる攻撃の音だけが聞こえる中、セドリックはあたしの体を守りながらしっかり攻撃を避けていた。


「庵可―! ヘンリー‼」


……ルカ?


あたしの下からルカの叫び声が聞こえる。


少ない体力を振り絞ってセドリックから体を起こして下を見ると、屋上に駆け上って来たみんなの姿が見えた。


ルカ、フランさん、ヘイリ、シキがあたしを見上げている。


「サラ‼」


ルカがあたしを呼ぶと、セドリックはゆっくり降下していって、あたしの体をルカに預けた。


「サラ‼大丈夫か!?」


「ご安心ください。傷口は全て塞ぎました。あとは体力が戻るのを待つだけでございます」


セドリックが、低く単調な声で言う。


いつの間にあたしの傷を治してくれたの?


ルカはあたしを抱きかかえ立ち上がった。


体の痛みは引いたけど、まだ意識がもうろうとする。


「魔力が使えるのは、誰だ?」


庵可くんの声がこちらに向く。




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