悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
みんながあたしを守ってくれているのに……。
ズドォン‼
突然大きな音がした。
「父上―‼」
ヘイリの声が上がる。
「父上‼しっかり‼今そちらに向か……」
ズドォン‼
また大きな音と共に、ヘイリの言葉が途中で途切れた。
舞う砂埃。
視界が一瞬悪くなる。
砂埃が薄くなり目に映ったのは、がれきの間からヨロヨロと立ち上がるフランさんとヘイリの姿だった。
ぼやけた視界であまりよく見えないが、ふたりとも額から血が流れいるよだった。
セドリックとシキは、ヘンリーに的をしぼって攻撃している。
庵可くんは、弱ったフランさんとヘイリと見たあと、今度はあたし達を見下ろしてきた。
「おやおや。そこ王子は大切にお姫様を抱えて何も反撃してこないのかな?」
嫌味な言い方だ。
魔力を封じられ、何も出来ないと知っているのに。
「お姫様で両手を塞ぐなんてなんたる失態」
ククククっと笑うと、庵可くんは右手をあたし達に向け光りのボールを作り始めた。