悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~


「……ルカ」


あたしはかすれる声でルカの名前を呼ぶだけ。


何も出来ない。


ルカはあたしの体をグッと自分の方に引きよせると、奥歯を強く噛みしめた。


ルカ……。

ごめん……。


あたし、完全に足手まといだね……。


あたしのことはいいから、逃げて……ルカ……。


恐怖と疲れで、一層意識が遠退いていく。


どんどん頭が重たくなって、全身の力が抜けた。


その瞬間。


白い意識の中で、ひときわ明るい光が自分から発され遠くに放たれた。


力の入らない瞼をゆっくり開けると、その光は庵可くん目がけ一直線に伸びている。


身動きの取れていない庵可くんは、自分に迫りくる光りの攻撃にただ目を見開いた。


そして、光りに貫かれた庵可くんの体は勢いよく降下し、コンクリートの床に強く叩きつけられた。


「庵可ー‼」


ヘンリーが慌てて庵可くんの元に下り立つ。


セドリックとシキも、あたし達の元に戻ってきた。


さっきまでもうろうとして頭が、少しずつではあるけど良くなってきたような気がする。




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