悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~

梓の居場所



「サラ!大丈夫か?」


庵可くんとヘンリーが消えた直後、ルカはすぐにあたしの体を触って無事を確かめた。


「ルカ、大丈夫。もうどこも痛くないよ」


あたしが微笑むと、ルカは安心したというように大きく息を吐いた。


一気に静かになった空間。


戻った日常。


もう、これで何も起こらない……?


全て、終わったの……?


今まで騒音だらけの世界から一気に穏やになり、キーンと耳鳴りがする。


フランさんは大きく手を空に広げると、荒地と化した屋上を魔力を使って元通りに戻した。


何事もなかったかのように、綺麗になっていく屋上。


そして、下からは元気のいい部活動生の声が響き始めた。


時間が、元に戻ったんだ。


あたしはセドリックに近づき、頭を下げる。


「セドリック、助けてくれてありがとう」


「俺からも礼を言わせてくれ。助かった。ありがとう。シキも、よくやった」


ルカが言うと、セドリックとシキはキチっとお辞儀をし、口角を緩めた。


「あのふたりは、本当に消滅したの……?」



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