悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~

新たなスタート



全て解決したあたし達は、無事に2学期を迎えることが出来た。


学校に行っても、もう庵可くんの姿はなかった。


消滅になったから、元々、この世に存在していなかったことになる。


梓の記憶の中からも消されているので、当然、庵可くんのことは知らない。




今日はみんなが待ちに待った金塊日食の日だ。


ちょうど昼休みに日食が見られるとのことで、全校生徒で空を見上げることになった。


日食を見る為の、専用の黒いシートを手に持ち、その時をジッと待つ。


あたしはルカと一緒に屋上に行き、みんなと同じように黒いシートを持ってその時を待った。


「色んなことがあったけど、今こうやって静かに日食を待つことが出来て良かったね」


あたしがルカを見上げると、ルカは眩しそうに空を見上げながら頷いた。


「犠牲になった悪魔もいるけどな」


そうだね……。


もっと早く動いていれば、防げたかもしれないのに……。


だけど、解決して本当によかった。


「お、もうすぐかな?」


珍しくルカの表情が子供っぽくなる。


まだ太陽は隠れ始めてないのに、黒いシートを覗き込んだ。




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