悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
庵可 タスク
「サラ様!! もしかして……」
目を丸め酷く驚いているシキが、あたしの両腕を掴み体中を見渡す。
シキのことだから、あたしの体に何か異変があったんじゃないかって心配してるんだと思う。
「シキ。あたし、全部思い出したよ」
「なんとまぁ!!」
喜んでいるのか悲しんでいるのか……。シキはグッと眉間にシワを寄せ目に涙を溜めた。
「体に悪い所はございませんか?本来ならば決して記憶が戻ることはないはずなのに……」
あたしの体をベタベタ触って細かく調べ出すシキ。
「大丈夫だよ、シキ。心配しないで。あたしはどこも悪くないから。けど、シキ。あたしの記憶を消すのちょっと手抜いたでしょ」
あたしが言うと、今まであたしの体を見ていたシキがとんでないという表情で首を振った。
「いいえ!!決してそんなことは。記憶を消して人間界へ戻すのは魔界の掟です!!私は今までの女性と同じようにサラ様の記憶を消して……」
必死に説明をしているシキの言葉を遮って、少し不機嫌なルカが横からあたしの体に触れるシキの手を無理矢理離した。