悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
「シキ。いつまでコイツに触れているのだ」
シキがハッとしたように慌ててあたしから距離を取る。
「申し訳ございません」
ササッとルカに深く頭を下げるシキは、相変わらず真面目な執事。
「話しは屋敷に戻ってからでよいだろう?ここは居心地が悪い」
ルカに言われて周りを見ると、あたし達のやりとりを物珍しそうに見ている人だかりが一層増えていた。
あぁ……。
明日、きっとみんなから質問攻めなんだろうな……。
どう説明をしよう。
ルカは実は魔界の王子で、あたしはルカの心の教育係として少しの間魔界に行っていた。なんて、言えるわけがないし、言ったとしても信じてもらえるはずがない。
シキに頼んで、みんなの今の記憶を消してもらう?
そんなこと、したらダメか……。
ひとりで色んなことを考えていると……。
「サラ様。さぁ、早くこちらへ」
シキの声に顔を上げると、シキは車の後部座席のドアを開けあたしに微笑みかけていた。
もう車に乗り込んでいたルカも、目を細め表情を和らげている。