悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
「屋敷へ戻りましょう」
何でもない言葉。
ただ、家に帰るだけのこと。
だけど、今のあたしにとっては、”屋敷に帰る“それは本当に奇跡で、もう二度となかったことだ。
あたしはシキに大きく頷いて、ルカの隣に乗り込む。
バタン!!
シキがドアを閉めると、あたしの隙をついて、ルカがあたしの頬にキスをしてきた。
「い、いきなり何するの!?」
驚いて声を裏返すと、ルカは勝ち誇ったようにフンと笑った。
「気を抜いている貴様が悪い。これから魔界にいたいというのなら、常に気を張っていろ」
な、なんて理不尽な。
確かに、魔界で生活をするって覚悟を決めたのならそれくらい気を引き締めなきゃいけないことだけど……。
だけど、ここはまだ人間界だ。
魔界ほど、危険じゃない。
あたしは口を尖らせてルカを睨みつけると、「こっち見んなブス」と、ルカは走る窓の景色に目を向けた。