悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~


真っ赤なバラの花で囲まれたチヅルさんのお墓。


外国でよく見る、少しおしゃれに感じるお墓だ。


あれからシキが丁寧に手入れをしたのか、バラの本数も増え、花びらは顔を濡らしツヤツヤに輝いていた。


「大好きなバラに囲まれて、よかったですね、チヅルさん」


サラサラと吹く風が、バラを揺らす。


「チヅルさん、あたし、またここに帰ってくることが出来ました。どうしてでしょうか」


チヅルさんからは返事は返ってくることはないのに、墓石に向かって話しかける。


“サラ様は不思議な力をお持ちです。そのネックレスに次から次に新しい力を与えたのですから“


前に、シキからそう言われたことがある。


あたしの記憶が戻ったのは、このネックレスのおかげ?


あたしは、首にさがるシルバーのネックレスを手に取りギュッと握った。


「チヅルさん。あたし、チヅルさんがフランさんについてここに来たように、あたしも、ルカと一緒にここにいてもいいと思いますか?」


あたしが話しかけても、聞こえるのは風に揺れる草花の音だけ。




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