悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
「ルカはあたしを追いかけて人間界まで来てくれました。あたしも記憶が戻った以上、ここで過ごした出来事をなかったことにはしたくないんです。それに……」
あたしは言葉を区切り、チヅルさんの墓石を真っ直ぐ見つめる。
「大好きなルカと、離れることはできません」
チヅルさんが聞いてくれてるかはわからない。
だけど、あたしが話しかける度に揺れ動くバラの花は、まるであたしに答えてくれてるように感じるんだ。
その揺れが穏やかで優しく感じられ、チヅルさんが微笑んで頷いてくれているんじゃないかと思った。
どうであれ、決めるのはあたし自身だ。
これから先ルカと一緒にいる為には何をしなければならないのか、真剣に考えなきゃいけないよね……。
「サラ様~!!」
玄関の方で、あたしを呼ぶシキの大声が聞こえ、あたしはチヅルさんに深く頭を下げて踵を返した。
「サラ様~!!お茶のご用意が出来ましたよ~!!」
「うん!! 今行く~!!」
あたしは、制服のスカートを翻し、ビシッと背筋を伸ばして立つシキの元に走った。