悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
あたしがまだ言ってる途中なのに、ルカはあたしの言葉なんてひとつも聞いていなかった。
ルカは階段の下を気にするように、何度も見ている。
「なに?どうしたの?」
あたしも気になって見下ろして見たけど、別に何もない。
それどころか、この周りには人の気配すらないのに。
「おまえ、アイツに近づくなよ」
……アイツ?
「アイツって、さっきの庵可くんのこと?」
あたしが彼の名前を口に出すと、ルカはピクリと眉を動かしあたしを睨みつけた。
「名前も呼ぶな。アイツが近づいてきても常に無視していろ」
なっ……。
無視しろって……。
いくらなんでも、理由もなしにそんなこと出来ない。
「どうして?そこまで言うなら何か理由があるんでしょ?」
あたしが聞くと、ルカはひとり先に階段を下りながら途中でクルリを振り返った。