悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~


「……え。まさか……彼氏……とか?」


言いながら、ルカに向かって小さくお辞儀をする。


すると、ルカは背筋を伸ばし胸元に右手を当て、きちんと頭を下げた。


「申し遅れました。私、黒羽ルカと申します。サラさんとは良いお付き合いをさせて頂いております」


ドキリとした。


さすが魔界の王子。


立ち振る舞いが美しくて、誇りに思う。


「お母様もお美しいですね」


キラリ。


初めて、人の笑顔に効果音が付いているのを見た気がする。


胡散臭い言い方だけど、お母さんはイケメンからこんなことを言われて頭から白い煙を出しオーバーヒートしていた。


あたしはその隙に『行ってきまぁす』とルカを引っ張って家を抜けだす。


7月も近付いてもう曇りの日も少なくなってきた。


本格的な夏がそこまで来ていて、歩くだけで額に汗が滲む。


だけど、暑いのはまるであたしだけかのように、ルカの肌には汗ひとつ滲んでいない。


自分の周りだけ涼しくなるような魔力を使っていたりしたら、殴ってやろうかしら。




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