悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
あたしが庵可くんに返すと、ルカが物凄い形相であたしを見下ろした。
なんかもうやり辛くて肩をすくめる。
「別に挨拶くらいいいですよね?サラ先輩」
困った表情で首を傾げる庵可くんに、あたしはルカの表情も気にしながら曖昧に頷く。
「別にとって食うわけじゃないからいいじゃないですかぁ。まぁ、今はですけど」
“今は“を強調して言った庵可くんは、変わらずあたしにニコニコ顔を向けている。
風に乗って運ばれてくるのは、庵可くんの香水の匂い。
強いわけじゃないけど、あたしの周りには香水を付けている人はいないので、鼻が反応してしまう。
でも、昨日は付けてなかった気がするんだけどなぁ……。
まぁ、その人のその日の気分ってヤツかな。
「おい、サラ。おまえも何を見惚れているのだ」
「み、見惚れてなんかないよ」
突然ルカに言われ、何故かうろたえる。
見惚れてるわけじゃなくて、本当にあたしの周りにはいない新種な人物だから、ちょっと珍しくて……。