悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
もしこの場面をシキや他のメイドさんが見たら騒動するかもしれない。
王子が炎天下の下ボールを蹴るなんて。
考えられないだろう。
でも、カッコイイ。
暑さと長時間立っていることに、ルカの表情は苛立ってるようだけど、あの気だるさと他の男子に比べて遥かに勝るスタイルの良さ。
金髪がキラキラと太陽に反射して、誰でも見惚れてしまう美しさだ。
「うわ……。めっちゃ彼氏に見惚れてる」
「……ッ!?」
突然耳元で聞こえた声に、あたしの体は驚いて大きく跳ねた。
あまりにも突然すぎて、心臓が破裂しそうなくらい速まる。
「ビックリした……」
グローブをつけた手で胸を抑えると、庵可くんはクスクスと笑って、ピョンと、あたしの後ろから出てきた。
「あれだけ見惚れてたら、僕が近づいても気づかないはずですよ」
あたしをからかうように肩をすくめる。
いや……。
それにしても、全く気配を感じなかった。