悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
ルカの方に目を向けていても、梓が投げる球はきちんと受け取れていたのに、庵可くんが近づいてることには全く気づかなかったなんて……。
あたしの死角を付いて慎重に近づいて来たの?
ていうか……。
「庵可くん!今は授業中なのに、どうして」
あたしが聞くと、庵可くんは眉を上げた。
「どうしてって、教室から外を見たら先輩がいたから」
そう言って、1階の教室を指差す。
「ちょうど自習中だったし」
庵可くんがニヒヒと笑うと、肌と同じように白い歯が顔を出した。
「ただジッと自習してるのも何だから先輩に会いに来ました」
会いに来ましたって……。
そんなことしたら……。
「うおっ!?あ、あれ!?黒羽が消えた!?」
男子の方から騒がしい声が聞こえ、あたしはサッと振り返った。
き、消えた!?
あたしがルカの姿を探した刹那、バン!!と、あたしと庵可くんの間にルカが現れ、あたしは目を丸める。