悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
「え?なになに?”ついて来れたら“行っていいんすか?黒羽さん家」
クラスメイトの輪の隙間からひょっこり顔を出したのは、庵可くんだ。
またややこしいのが来た……。
あたしは庵可くんを見て、またあからさまに眉間を押さえてため息をつく。
「あれ?サラさんなんか疲れてます?」
疲れてますよ。
あなたに。
天然な庵可くんはあたしの嫌そうな表情を見て、目をパチクリと瞬きさせながら首を傾げた。
"先輩“から、いつのまにか”さん”に呼び方が変わっている。
もう、この子には何を言ってもきっと何も変わらないんだろう。
あたしの周りで騒いでいても、軽くあしらうのが一番いい方法だと、最近気づいた。
「黒羽さん!俺、足には自信があるんすよね!!」
顔全体に笑顔を咲かせ、ルカの側に寄って行く庵可くん。
「あの執事さんの安全運転なら、俺絶対走って追いかけられる自信があります!!」