悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~


ヘイリもあたしのファイティングポーズには触れず、ルカを振り返って歩いて行く。


兄弟揃って無視かよ。


「ヘイリ様。またこちらにいらしていたのですね」


シキも、あたしと目を合わさず、あたしをひとり玄関前に置き去りに。


えーえー、そうですか。


ちょっと大袈裟にファイティングポーズを取ってみたけど、それに関してみんな無視ですか。


あたしはひとり残された玄関で、ぎこちなくファイティングポーズを戻し、虚しく手をブラブラと揺らす。


ルカとヘイリは、あたしが人間界に戻される前に酷い争いをしたけれど、今はこうやってお互い和解していい関係を築いているみたいだ。


セドリックがあたしを見る目はまだ寒気がするほど冷たいけれど、もう奴隷のように扱われることはない。


“魔界は兄上に任せた“


前にルカがそう言っていたけれど、本当にそうなんだなって、久しぶりに会った今日、それを実感した。


ヘイリの服装や雰囲気が、以前と明らかに変わっていたからだ。




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