悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
悪意しかなかった黒い存在から、フランさんのように、国を治めるのもに相応しい物腰の柔らかさがついていたような気がした。
玄関から続く長い廊下を歩いて行くみんなの後ろ姿を見る。
前は本当に敵同士のように睨みあっていたのに、今ではちゃんと”家族“の空気がある。
無視されたのは悲しいけど、それはまぁ、今に始まったことじゃない。
「兄上がこちらに来られると、人間界はいつも突然雨が降るんです。少しは考えて下さい。人間界でも生活がし辛くて仕方ありません」
「何を言う。私が来たとおまえに合図を送っているのではないか」
「それが迷惑なんです。いい加減弟離れを……」
兄弟の言い合いに、あたしは口角を緩める。
てか、突然雨が降り出していたのは、ヘイリのせいだったのか。
だからルカはいつも妙な反応をしてたんだね。
それならそうと言ってくれればいいのに、仲の戻った兄弟関係に照れくささを感じているのかな?
あたしはルカ達のあとにはついて行かず、バラ園の側にあるチヅルさんのお墓に向かった。