悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
すごい車……。
執事……。
ああ、また。
“知ってる“
あたしの中にもうひとりのあたしがいるみたいに、“知ってる、知ってる”と頷いている。
何これ。ウザい。イライラする。
知らないっつーの。
「えーー?執事いるの? 超お金持ちじゃん」
「でも、どうしてウチの学校なの?ルカ様には相応しくないと思うよ。自分で言うのもなんだけど、バカ校だし、公立だし」
ひとりの女子が自虐的に言うと、周りから『確かに』と笑いが起こった。
「俺は、ここでなければ意味がない」
静かなトーンで言った彼。
あたしは背を向けているからどんな表情で言ったのかはわからない。
だけど、彼の言葉はストレートにあたしの背中に刺さった。
「どうして?」
梓を含め、女子の声が重なる。
彼はしばらく間を置いたあと……。
「好きな女を、また俺のものにする為」
と、重みのある声で言った。