悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
シキがあたしに向かって頭を下げる。
あたしがシキに「ううん」と笑って首を振ると、あたしの前に座っている梓が感心したように深く息を吐いた。
「こうやって見たら、サラがお姫様に見える」
あたしは「え~?」と眉間にシワを寄せて笑う。
「執事さんにこんなに丁寧にされるなんて、経験できないよ!?」
「サラ様は、私共の恩人なのです。とても特別な存在なのですよ」
シキがあたしを見て、眉を上げる。
「恩人だなんて。あたしは別になにも……」
急にそんなことを言われると、照れて仕方ない。
それに、恩人とか、大袈裟すぎる。
「サラ様はいかがなさいますか?ご夕食もルカ様と一緒にお召し上がりになります?」
「ううん。今日は梓もいるし、一緒に帰る」
「かしこまりました。では、お車の所に参りましょうか。庵可さんももうお戻りになるでしょう」
あたしと梓は、シキのあとに付いて応接間を出た。
その時、ちょうどトイレから庵可くんとヘンリーも戻って来た。