ドーナツが好きってだけだけど(仮)
「外山くん、また明日。部活頑張ってね」
外山くんの目をしっかり見て控え目に、
だが自分の持てる限りの全力の可愛さを
込めて微笑むと、
外山くんの頬がほんのり赤くなった。
ちょっと目が泳いでいる。
あぁ、やっぱり。
私の予想は的中だ…
外山くんはありがとうと嬉しそうに
言って食堂の出口の方へと消えて行った。
「智香ー、並びながら見てたよ」
大盛りラーメンとごはん、さらには
フルーツまでのったトレーを抱えて
戻ってきた夢ちゃんが、
興奮したように言った。ドカッと勢いよく
置いた為スープが揺れてこぼれそうだ。
「今朝の話、外山が智香のこと好きなん
だってさー」
「えぇー、智ちゃんを!?いいなぁー」
続いてロコモコ丼を持って帰ってきた
奈々ちゃんが驚きの声を上げる。
私は知らなかったという様な顔をして
驚いて見せたが、さっきの外山くんの
反応ですでに確信を得ていて本当は冷
静だった。
それに学校中で憧れの的になっている
自分と、
女子からの人気が高いのはもちろん
男子からの信頼も厚い外山くんがこう
なることは想定内なのだ。
だからいつかこうなると心の中で思っ
ていた。