ドーナツが好きってだけだけど(仮)
指をいっぱいに広げ、両手を高く上げて
「ドーナッツ、装着完了」
ふざけた口調で呟く…
その時、強く風が吹いて私の長い髪が広
がった。
黒髪が視界を覆う。
前が見えない。
両手がドーナツで塞がれていて手で払う
こともできない。
もう、ジャマだなぁ…
「……チッ」
私は苛立って一度下を向くと、ブンッと
大きく頭を振って髪をどけた。
前を向く………
視線の先………
あの、内田くんがいた。