ドーナツが好きってだけだけど(仮)

私の夜



「和也ぁあ!聞いてくれー!!」

家に帰るとすぐにリビングにいる弟の所へ
走った。


「何だよ姉ちゃん。
 
うわっ、髪ボサボサじゃねーか。
清楚な美人を目指してるんじゃなかった
のかよ」


弟は冷めた目でコーヒーを飲んだ。
今日買ってきたらしいドーナツがお皿に盛
られている。

私は目を血走らせながら弟に詰め寄った。


「私が苦労して積み上げてきたものがぁぁ。
 終わったぁぁああー」


「はっ?何が。とりあえずその髪直せよ。
 なまはげみたいになってるぞ」



ドーナツを指にさしてしまったこと…
内田くんのこと…

弟にかいつまんで話す。


「……で、私は明日からどうすればいいのかな。
これからも清楚で皆の憧れの中沢さんで
いたいんだよぉお」


「ドーナツはめるとか……バカだろ。」



半泣きですがる私を呆れ顔で見ると、
弟は溜め息をついた。


「なるようにしかならないんじゃね?
 そもそも姉ちゃんには清楚でいること何て
 無理なんだよ。

 まぁ………百合華ちゃんに劣等感感じて
んのは分かるけどさ」



百合華ちゃん…

リビングに飾ってあるたくさんの写真たて。
その一枚にきらきらと宝石のように輝いてる、
年上のイトコが写っている。


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