ドーナツが好きってだけだけど(仮)
〝中沢さんってほんと綺麗だよねぇ〟
〝勉強もできるし美人で憧れるよな。
出来るもんなら俺告白したいわ〟
〝ははっ、お前なんか無理だよ!
智香ちゃんに釣り合わねーよ〟
〝わぁ、あたしあの先輩と話してみたい
なー〟
〝前落とした時、あの二年の子が拾って
くれたのよ。優しかったなー〟
あぁ…何て気分が良いんだろう
最高だ
皆からの羨望のまなざし。時には後輩や
先輩からも私は憧れの対象になっていて…
そんな風に周りから思われることがたま
らなく嬉しいのだ。
人から感謝されたり噂されたりする度に
もっともっと理想の優等生を目指してし
まう。
私はそんな今の自分のポジションが気に
入っていたし、そのための日々の努力も
面倒ではあるけど楽しんでいた。
こうして今朝も自分への羨望の声を背後
に感じながら、私は教室へ入って行く。