ドーナツが好きってだけだけど(仮)
まったく女子は面倒だ。
髪型が変わったり、持ち物を替えてたり
いつもと違った所があればすかさず気付
いて一言可愛いね何て言わなければなら
ないのだから。
何も言わないと気が効かない奴だと思わ
れたり、不機嫌になったりする人も多い
のだ。
「智ちゃんはいいな~。髪つやつやして
てストレートでさ。縛らなくていいんだ
もん。
あたしなんて癖っ毛だから、
いつもふたつに縛ってるし、ピンで留め
るくらいしかアレンジできないよ」
言いながら奈々ちゃんは、私の長い髪を
いじった。
「私も結構広がるから毎朝大変だよ」
そう答えると嘘だー何て言いながら軽く
頬をふくらます。
奈々ちゃんの右隣の自分の席へ鞄を置き
ながら、
智香は毎朝の髪との格闘を思う。
ほんとは奈々ちゃんを超えるくせ毛な私
は、定期的に縮毛矯正をしてトリートメ
ントもマメに行い、毎朝時間をかけて髪
をセットしてやっとこの完璧な形を維持
していた。
でもそんな苦労もいつも表には出さずに
いる。