溶ける温度 - Rebirth -
「…そう、」
本人から直接言われたわけでもないのに、第三者の口から聞いても存分に照れる。
本気で気に入った、と。あのビー玉の瞳で見つめられて魅惑的なマリンの香りを漂わせて、低いトーンで言ったのだろうか。
とうことは、あの日の大志さんの態度はまやかしや夢などでは一切なかったらしい。
旧友である真さんに私のことを伝えるということは、その本気度も冗談などではないということ。
素直に、嬉しい。
私のどこを気に入ってくれたのかわからないけれど、好意を寄せられたんだ。
春子ちゃんに一歩素直になる勇気をもらえたことに、感謝しなきゃ。
真さんはそんな私をちら、と一瞥するとまたすぐに前を向きなおして運転を続ける。
そしてもう一度口を開いた。