溶ける温度 - Rebirth -
それから、何ヶ月かの交際を経て、結婚を考えてほしいと彼の口からきいた日は、たった2ヶ月前だ。
婚約指輪と一緒に少し照れたような表情をしていた彼は、今でも頭の中にすぐに思い出せるというのに。
「……身の程知らずの恋だったの」
言葉にしてしまうとやっぱり堪える。何もない真っ暗な夜の公園を見ていた視線が徐々に下降して、膝にきたときには涙が一滴こぼれそうだった。
あんなに美弥に代わりに泣いてもらったというのに。気付かないふりをしたかったけれど、彼のことを思い出すと心がきゅっと縮んだ。