溶ける温度 - Rebirth -
「…予約されたのって大志さんでしたか?」
「そう。連れがすぐにくるから。今日はテーブルで失礼するよ」
にこやかにほほ笑むと、カウンターの奥のキッチンへ視線を動かした。
「真。いるんだろ」
良く通るロートーンボイスが店内に響き、奥でいつもながらメニューの改案を行っていた真さんが店内に顔を出した。
「おう。時間通りだったな」
「フライトは順調だったみたいだからね。それにこんな時間に悪かったよ。もうすぐ来るから、軽いカクテルを1杯と水を一つ頼む」
「……あ?お前がカクテルって珍しいな」
「いや、俺じゃなくてね」
カラン、とまたもやお店のベルが鳴り、私と真さんは再度視線を玄関口へ向けると。
はじめましての人が、現れた。